aamall

2010年06月20日

アウトレイジ 2010年日 ☆4.0(5点満点)

2010/06/20
Mhb vol.1122

 北野武監督。ビートたけし、椎名桔平、國村隼出演。
 関東を牛耳る巨大暴力組織「山王会」の総会で、まだ力のない大友組の組長の大友は、直属の上部組織である池元組の池元から「村瀬組を締め付けろ」と命令を受ける。大友組が命令を実行したところ、怒涛の抗争が始まってしまう…。



 北野映画の原点である、暴力と死。そのテーマを権力や欲望がとぐろを巻く非社会的勢力を舞台に徹底的に描いた問題作。
 
 日本のトップレベルの俳優が集い、徹底的にヤクザの世界を炙り出している。
 攻撃、報復、出世、そして裏切り。昔のヤクザ映画ありがちな義理人情は極端に少なく、淡々と権力抗争を見つめていく。まるでそれが悪趣味の芸術ショーであるかのような演出は、今まで北野映画に流れていた「人生のゴールとしての死」を感じさせるものではなく、ヤクザという組織の中での死とは簡単なものだと感じさせる短絡さを感じる。
 感動や感激などとは、程遠いようなこの映画であるが、大事にされる命もあればその一方でこの映画のように人間の欲で簡単になぎ倒される命もあることを思い起こさせる。
 個人的に感じるのは、戦争や内戦の報道で伝えられる数字だけの死者や、幕末の権力抗争で簡単に消された志士も死者も死者の一つの姿。身近には手厚く葬られる死者もいる。この映画はそんな不思議なリアクションをもっている。

 キャストはここ数年見た邦画で一番充実している。ほとんどすべての役者が、味わい深くきめ細かい。特に三浦友和、椎名桔平、加瀬亮。
 三浦友和は、もはや悪魔的に恐ろしく妖しく光る。椎名桔平は名作「ヌードの夜(1993年)」を思い出させる不敵さが凄みを利かせ、加瀬亮に至っては今までの役ではありえない最低の人物を見せている。まさに「全員悪人」だ。
 
 「なんだ!バカヤロー!」のノリで見に行くと間違いなくやけどするような”悪い”映画。スクリーンを直視できないシーンは多数あるので見た後食事できないかもしれない。
 この映画は、この映画自体が映画ファンへの挑戦でありブラックジョーク。徹底的な世界観と俳優たちの怪しさは秀逸。まさに嬉しい北野映画の誕生だ。

text by dk

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